どうも、ねこりずむです。
今回は、メンズでも可愛くなりたい方のために立ち上げたアパレルブランドを経営するブローレンヂ 松村智世さんを取材させていただきました。
松村さんは、幼少期の自分の経験から、“メンズサイズの可愛いお洋服”のブランドを立ち上げられました。
ブランド名は“blurorange”(ブローレンヂ)
ねこりずむ:メンズサイズの可愛いお洋服ということでアパレルのブランドを立ち上げられ、実績を作られていらっしゃるかと思うんですが、ブローレンヂとはどんなブランドなのでしょうか?
松村さん:ブランド名「blurorange」には「blur(ぼんやり)+ orange(オレンジ)つまり、『ぼんやりした夕焼けのように男女という枠組みもぼんやりでいいよね』という意味が込められています」
ブローレンヂのブランドイメージ
松村さん:男性の体型で、レディース服を着ようとすると肩幅が入らなかったり、胸板の厚さでボタンが閉まらなかったり、スカートの着丈が短すぎたりと、とても苦労が多いんです。大きいサイズのレディース服とかもあるんですけど、肩幅はそんなに大きくないしお腹周りだけがブカブカで、すごくアンバランスになっちゃうんですよ。だから、服の設計の段階から男性の体型に合わせて設計しています。体型に合っているというだけで、格段におしゃれ度はアップしますし、デザインに目の錯覚を応用しているので、男性体型でも着るだけでスタイルアップするんです。
ねこりずむ:なるほど。最近、ドラマやニュースでも「LGBT」や「トランスジェンダー」が話題に取り上げられますが、その点についてはどう思われますか?
松村さん:私は、LGBTという言葉の定着に疑問を持っています。生物学上の男女というものは確かに存在しますけど、誰を好きになるとか、どんなファッションをしたいとか、それは本来自由であっていいと思うんです。だらか、それにわざわざLGBTと名前を付けて、みんなで理解しましょう、支援しましょうなんて変な話ですよね。「T」にあたるトランスジェンダーに至っては、「世の中が誰がどんなファッションをしてもいい」となれば消滅するんじゃないかと思うんです。100年後には、「昔って男女で着るものが決められてたんだって」ってなっててもおかしくない。逆に言えば、今から100年前は、身分で着るものが決められていたから、パッと服装を見ればその人が農民か貴族か可視化できたんです。その時代の人からすると、現代の貧困層でもお金持ちでもユニクロを着ている状況を見るとびっくりしますよね。そう考えると、100年後には、生まれ持った性別に縛られずに誰もが自由にファッションを楽しめる時代が来る可能性は十分にあります。おじさんが華やかな服を着て仕事しているのを想像すると楽しそうですよね。そうなれば女性にとっても過ごしやすい時代になるのではないでしょうか。
ねこりずむ:なるほどー!ファッションは性別と時代を越えていくかもしれないですね。
松村さん:そうですね。たかがファッションと言われるかもしれませんが、ファッションは時代を変える力があります。性別を越えるファッションブランドを作るって誰もやったことのないことにチャレンジするって面白いし、実現した世界を想像するとワクワクします。
同時に使命感もすごく感じています。
松村智世さん、デザインされたワンピースとともに
ねこりずむ:一番苦労したのはなんでしょうか?
松村さん:3つあります。(笑)まず1つ目は、資金調達ですね。
初めから工場に発注して製作するつもりだったので、まとまった金額が必要でした。日本政策金融公庫に融資をお願いに行ったんです。女性の起業家に向けた低金利の融資などがあるんですよ。でも相談に行ったら融資するにも自己資金が0では無理ですと言われたので、今まで毎月コツコツためていたお金と、いろんな口座からかき集めて何とか100万円用意しました。それを元手に融資してもらいました。
その費用で1作目にブラウスを製作し、2作目にワンピースを製作したんですが、認知度がなさ過ぎてなかなか売れず。モノはできたけど、「さぁ、どうしよう」ってなりました。製作費もすぐなくなって・・・。資金のやりくりは本当に大変でした。
そこから、起業家相談所に資金について相談をしに行った時に、クラウドファンディングの存在を知りましたね。
日本政策金融公庫のホームページはこちら!
松村さん:2つ目は、なかなか服を製作することを引き受けてくださる工場が見つかりませんでした。
でも、求めている人は沢山いると思っていました。だからハンドメイドではなくて、ブランドとして立ち上げたかったんです。製作を開始しようと決断し、工場に片っ端から電話をかけまくりましたね。
「メンズサイズでレディースのデザインの服を作ってほしい」と依頼すると、どこの工場も「うちそんなんやってません。」と電話をかけては断られ続けていたんですが、30件目でやっと会っていただけるということで、OKをもらえたんです!
いざ工場へ説明しに行ったら、何故か、普通のレディース服を作るブランドだと趣旨を勘違いされていたことがわかって・・。(笑)でも諦めず、担当者の方に自分の想いや熱意を伝えたんです。
「わかりました、やりましょう!」って返事をいただいた時は本当に嬉しかったです。
ねこりずむ:なるほどー!諦めずにずっと行動されていらっしゃったんですね。
男性と女性の体型の違い
松村さん:3つ目に苦労したのは、無名のブランドから認知度を上げていくことですね。
服を作ったはいいものの、認知度がなさ過ぎて全く売れなかったんです。知人に相談したら、まず「プレスを書こう」とアイディアをもらいました。
そこから、とにかくプレスを書きまくって色んなメディアに送りました。始めてから、一ヶ月後くらいに新聞社から取材依頼が入りましたね。
それと知人から「あとは影響力のある人に着てもらえばいいんだよ!そういえば東大で女装してる安冨先生という方がいたと思う。」とアイディアをもらったので、すぐに安冨先生を検索してSNSからメッセージを送りました。
そしたら、安冨さんからも「そういうブランドは需要があると思って色んな百貨店とかに言っていたけど、誰もやらなかったんです。私は応援します。」と背中を押してもらい、協力していただけることになったんです。
それと、クラウドファンディングをはじめてから、いろんな方の目にとまるようになって、問い合わせや取材が増えました。
NHKから取材依頼が来たときはびっくりしましたね。そこから徐々にメディアや多くの人たちに知っていただく機会が増え、認知度が上がってきました。
ねこりずむ:なるほどですね。NHKからの取材がくるぐらい認知度が上がったんですね!
今回クラウドファンディングで目標金額を達成されているパニート
ねこりずむ:是非、今後について教えてください。
松村さん:メンズサイズの可愛いお洋服を着たい方々に、次は可愛いルームウェアやパジャマをクラウドファンディングを通じて製作していきたいです。
私、パジャマ好きなんですよね。パジャマって楽だし、鏡ごしに見て可愛いパジャマだと気分が上がるんですよね。それと靴下って26cmがほとんどで、ニッセンやcecileでは27cmもあったんですが、どちらかというとシックなものが多くて。
ねこりずむ:確かに27cmはあまり聞いたことがないですね〜。
松村さん:“Don’t think. feel!”
「考えるな!感じろ!」とは、あのブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」で言ったセリフです。
私はもともと専業主婦で主人が年齢が離れているので、ブランドを立ち上げる前は「主人がもしいなくなったとしても、自分で生きていく力が欲しいな」と思ったんです。
そして、毎日が退屈だな、と思っていた事もきっかけになりましたね。
ねこりずむ:そうなんですね!
松村さん:元々は23歳で結婚し、3年専業主婦をしていたんです。その間は何もやる気がしなくて、「もう飽きた!何かしないと〜!」と思っていました。
ねこりずむ:今の松村さんからは想像つかないですね!!
松村さん:もともと、幼い頃に女の子らしい格好をするのが嫌で、10代の時は男の子の格好が好きだったんです。でも、身体の成長と共に今まで履いていたお気にいりのダメージジーンズが入らなくなって・・・。その時の自分の着たいものが着ることができないジレンマがあった経験が、何かやりたいなぁと思った時に「あっ!」と出てきたんです。それは自分自身が感じたことだったから、自分の中で出てきたんだと思います。
何か始めたいなぁと考えている方に伝えたいのは、ひらめきは、自分の体験したこと感じたことから出てくるものだということです。自分とは全くかけ離れたことを頭で考えて生み出そうとしてもろくなことは思いつきません。今の自分自身に耳を傾けて感じてみてください。“Don’t think. feel”です。
ねこりずむ:自分の感じたものから、やりたいことやそれを通じてどう関わっていけるか考え、自分で答えを見出されたんですね。
ねこりずむ:Kanattaでは、20代・30代の女性の方々が多いのですが、頑張っている女性たちへメッセージをお願いします。
松村さん:今の世の中は、我慢していらっしゃる方々が多いように感じるんですよね。私は自分のやりたいことをやってる人には、それをサポートしてくれる人が集まると思います。逆も然りで、我慢ばかりしていると、我慢を強いる人たちが集まると思うんですよね。我慢している人は『私はこの環境だからできない』って言い訳をすることが多いように感じます。
他人にどう思われるんだろうっていうのを気にしないで、自分を表現することを大事にして欲しいですね。
ねこりずむ:なるほどー!このジェンダーレスの服にも込められたメッセージなんですね。
どう思われるんだろうっていうことを気にしないで、自由に自分を表現することを大事にしたい。松村さんはクラウドファンディングや生き方を通して自由ということを発信しているように感じました。
アパレルが性別を越えて、表現できる時代が始まっているんですね!
松村さん、本当にありがとうございました!
松村さんのことをもっと知りたい方はこちら!
https://twitter.com/blurorange_jp
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■Youtube
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・松村智世(32)
ファッションデザイナー/クリエーター。 幼い頃から男の子っぽい服が好きで、兄のお下がりを自分のサイズにリメークするなどハンドメイドを開始。高校卒業後、紳士服店やレディースアパレルなどで働いた後、25歳で関西大学へ進み心理学を専攻。認知心理学やジェンダーについて学び、服のデザインに錯視(視覚による錯覚)を取り入れること考案。大学卒業後、服飾専門学校で服作りの基礎を勉強。 2017年6月blurorange立ち上げ。2018年6月に東京大学安田講堂で前代未聞のファッションショーを開催。現在に至る。
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